スタッフの支援力向上の研修を行っています!  3月「依存症を併存する成人期の発達障害」

atGPジョブトレでは、利用者の方々が安定して働き続けることを目指して、定期的に支援力向上の研修を行っています。

3月は対面、オンラインのハイブリッド式でatGPジョブトレ、atGPジョブトレIT・Web全スタッフ参加での開催となりました。

 

 

依存症対策全国センターのホームページよりーーーーー

依存症は発達障害と重複しやすいと言われています。

発達障害の人々は社会の中で様々な生きにくさを抱えていますが、専門の援助者に相談をしている人はまだ僅かです。自身が発達障害であると認識していないため、受診や相談をすること自体に思いが至らない人も少なくありません。

もし彼らの前に、その生きにくさを一時的にでも忘れられる「魔法の物質や快楽」があったらどうなるでしょうか?日々の生きにくさを忘れるために、生きにくい世の中を生き抜くために魔法の物質や快楽を利用しようとする人は珍しくありません。この魔法の物質や快楽として人々を惑わせているのが、アルコール・薬物、ギャンブルなどになるのです。

依存症対策全国センターから引用

https://www.ncasa-japan.jp/notice/duplicate-obstacles/developmental-disorder



依存症を併存する成人期の発達障害

 

3月は依存症と発達障害に関しての研修です。

約30年前から、各マック、東京ダルクと協働スタイルでアルコール・薬物依存症からの社会復帰支援活動をされ、現在は幅広い依存症を支援、マイノリティ同士によるボランティアを主体とした社会参加活動を支援されている雷門メンタルクリニック 精神科医師 伊波真理雄先生からご講義いただきました。

伊波先生の講義内容をそのままご紹介します。

 

 

依存症を正しく知ろう

 

アルコール・薬物使用、ギャンブル、ショッピング、過食…等々の没頭感や高揚感は「無力感」を癒してくれる嗜癖行動で、辞めたくても辞められない状況になります。これらの行動は本人の信用を失うだけでなく家庭内に無力と緊張を蔓延させ、安らぎが奪われるのです。

依存症は「本気になれば辞められるはずだ」と誤解を受けています。自分にとって依存対象がどのような存在なのか、依存対象と離れるのがなぜ怖いのか、自分なりの答えを見つけることが重要で、依存症を正しく理解している人からのまなざし、そして仲間に見守られながら自身を受け入れ回復が進むと「水を得た魚」のように自由になります。

 

 

依存症はアレルギーのようなもの、依存対象に対して他の人とは違う反応をするという

発想がわかりやすいかもしれません。しかし、「依存を断つなら意志を強く持て」「自業自得なんだから多少は苦しんだ方がいい」…共感に乏しい家族・周囲は、”正論ハラスメント”で依存症当事者の罪悪感を掻き立て追い詰めてしまうことがあります。

このような場合は、家族と物理的に離れることで生活能力が向上する事例が多いです。入院中に当事者同士の交流が始まり、退院後はグループホームやデイケア等当事者活動で”正論ハラスメント”から解放されることで、社会性の高い依存症者は信用とリスペクトを取り戻すために相互支援関係で安定する事例も多いのです。



リハビリ施設での取り組み

 

 

リハビリでは東京ダルクや川崎マックのような当事者支援施設と相互支援プログラムと連携します。当事者支援施設の運営スタイルは、医療職・有資格者ではなく経験者が指導します。ルームシェアでの生活、ミーティング参加がルール、昼間はデイケアプログラムに参加、夜は地域の相互支援グループに参加。

そうした活動の中で回復していく方もいる一方、孤立してしまい医療を頼ってくる方もいます。そういった方にも適切な支援とは何かを見極め、”良い市民”として生きられる支援を考えます。



医療としてできること

 

本来の依存症はだんだんと悪化するものですが、依存症の離脱・再発を繰り返すケースは発達障害の場合が多いのです。依存症者に発達障害の人が多いというより、発達障害の一つの症状として依存症のような行動をするということが正しいのではないかと思います。依存症を引き起こすまで発達障害のグレーゾーンが見逃されてきてしまったということなのです。

生きづらさを見落とさないためには等身大の生き方をする、自分を許すということが必要になってくると考えています。

患者の成育・生活歴で能力・行動・縁を確認、インテーク重視の診察が重要です。自分の課題と正面から向き合えるように、自分を俯瞰する能力を補完する役割があると考えています。


 

発達障害のグレーゾーンの方々は依存症と間違われることが多いので、精神科の診断で思考停止に陥り対話ができなくなってしまうことは少なくないのです。診断よりも以下の(1)~(3)の評価が大切です。

 

(1)何が好きなのか、苦手なのか:感覚

(2)何にやりがい(充足)を感じるのか:納得

(3)何ができて、何ができないのか:能力



案内者(ガイド)に求められること

 

リハビリ施設、デイケア、就労移行支援事業所のようなところへの継続的参加は(1)~(3)を浮き彫りにするので本人の特性を知ることができます。診断の材料として、集団を管理するスタッフからのフィードバックが重要です。

発達障害へのサポートとしては、強みを発見してそれを共有すること。就労移行支援事業所の支援者の皆さんには、この(1)~(3)の軸で、まなざしと言葉遣いでポジティブな解釈をし、くつろげる生活ができるように心がけていただきたいと思います。

焦ったり、自分自身を過大評価したり責めたりせずにありのままの自分を受け入れるようにしたい。そして多様な人たちを受け入れる社会になれば精神科医療のやることも変わっていくのではないかと思います。

 

 

 

終わりに

 

感覚・納得・能力のアンバランスが生活上のリスクにならないように支援計画を立てる。「上から目線」「自己判断」でトラブルになることが多いので、報告・連絡・相談が重要になる、など。伊波先生から就労移行支援の職員としてどのように支援していくべきかについてもたくさんヒントをいただきました。

先生の講義の中に何度も出てきた「まなざし」という言葉を今一度考え直して毎日の支援につなげていきたいと思います。



講演・資料提供:雷門メンタルクリニック 伊波真理雄先生

https://www.raimoncl.jp/

 


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