お取組み紹介
アコム株式会社
事務未経験者も幅広く採用・定着!アコム株式会社の障害者雇用の工夫
本記事の主なテーマ:長期定着/事務未経験採用
人事部 林様(左)・福島様(右)
アコム株式会社について
アコム株式会社は、個人ローン市場におけるリーディングカンパニーです。国内ではローン・クレジットカード事業、信用保証事業を、海外ではローン事業、個別信用購入あっせん事業を展開しています。
一人でも多くのお客さまに信頼いただけるよう、創業以来一貫して「信頼の輪」を拡げることに注力してきたアコム株式会社。「信頼の輪」は社員同士の関係にも通じ、お互いを思いやり尊重し合う温かさが社風に反映されています。
障害者雇用については全社で推進が行われ、事務未経験の方も幅広い部門で積極的に採用し、入社後も安定した職場定着を実現されています。今回は人事部の林様・福島様に、障害者採用時の工夫や定着フォローの方法などについてお話を伺いました。また、ゼネラルパートナーズの転職支援サービスatGP経由でご入社された方に入社後の印象を尋ねました。
会社全体で障害者雇用を推進!安心して受け入れられる体制づくりを実現
- ゼネラルパートナーズ(以下GP):一般的に障害者雇用は人事の方の目の届く部門に限った採用が多く、会社全体としての取り組みが難しい企業も少なくありませんが、アコム株式会社では幅広い部門で受け入れされていますね。
- 林様:はい。採用部門は人事部や総務部に限らず、営業部門や審査部門、信用保証事業部門といった顧客対応を含む部門などでも従事していただいています。これまで、上肢・下肢機能、心臓機能、聴覚機能、視覚機能、ぼうこうまたは直腸機能、高次脳機能、てんかん、双極性障害Ⅱ型、広汎性発達障害の方々の雇用実績があります。
- GP:受け入れ部門はどのように広げていかれたのですか?
- 林様:各部門の責任者に向けてアンケートを実施して率直な意見を聞いてみたんです。お任せできる業務はどのような内容か、何名受け入れられるか、受け入れに際しての懸念事項や不安に思うことはなにかという項目で聞いたところ、受け入れ可能な部門が予想以上にあり、担当してもらう予定の業務も把握できました。また、受け入れ側の意見なども確認できました。
それによって、具体的な配属イメージも含めた全体像がつかめ、応募者と部門とのマッチングがしやすくなり、人事部としても採用活動が進めやすくなりましたね。また、アンケートを実施したことで、会社全体として障害者雇用に取り組んでいくというメッセージが伝わり、各部門が障害者雇用のより一層の促進について理解を深めてくれたこともよい結果につながっています。
- 福島様:弊社は複数の拠点があり、人事部の担当者だけでは全体のフォローが難しいため、各拠点で人事系の役割を担う中堅社員やベテラン社員に資格認定講習を受けてもらい、各拠点の障害者職業生活相談員として採用選考や定着フォローなどについてサポートしてもらっています。
事務未経験も幅広く採用!経歴ではなく、障害者採用を希望する理由から見極める
- GP:採用方針やコンセプトなどはあるのでしょうか?
- 林様:当社の企業理念に共感できる方で、ご自身の障害をオープンにして長期就業を目指す方が採用のターゲットです。そのため、雇用区分は期間の定めのない「拠点正社員」(就業場所限定)として入社を希望される方を募集しています。
- GP:これまで事務未経験の方も多く採用されていますね。未経験者よりも即戦力となる経験者を求める企業も少なくありませんが、なぜ未経験者を積極的に採用されるのでしょうか?
- 林様:長期的な視点で活躍を期待しているからです。確かに未経験者の場合、入社後の1~2年は土台づくりとなり経験者に比べて育成に時間がかかりますが、この間はアコムの文化や風土を身につけていく期間でもあります。未経験であることで先入観がなくかえって職場環境に順応しやすく、その後2~3年で業務に適用できるスキルが習得できた後は大きな戦力となってもらえるんです。
未経験の方はひたむきに頑張る方が多いんですよ。障害があっても頑張っている姿に接することで、一緒に仕事をする周りの社員にも自然と良い影響を与えます。そういう見えない効果も含めると、会社への貢献度は計り知れないと感じています。
- GP:長期就業できそうな方だなというのはどういった部分で判断しているのでしょうか?
- 林様:ご自身の障害を理解したうえで、どのように働いていきたいのかを整理できている方が長期就業に繋がっていると感じます。そのため、面接では「障害者採用枠で働くことについて、ご自身がどうとらえているか」を聞いています。障害を受容したうえで一歩踏み出した方は、結果的に長く働いてくださっているなと感じています。
- 福島様:高次脳機能や双極性障害Ⅱ型、広汎性発達障害の方で、過去に転職回数の多い方の採用実績もあります。特に精神障害の場合、手帳取得前はご自身でも障害の理解が進まず、環境調整もうまくいかないため、転職回数が多くなってしまうケースもあります。一概に転職回数だけで判断せずに、そういった背景も見据えながら経歴を拝見したりお話をうかがったりしています。
- GP:採用にあたって、事務スキルなどを確かめるテストのようなものは実施されていますか?
- 福島様:事務処理能力を確認するためのテストは実施していません。SEや法務など、よほど専門性の高い業務でない限り、日々のOJTのなかで業務を覚え経験を積めば、誰でも自然とスキルが身につき事務処理能力も磨かれていきます。
- 林様:スキルが備わっているかよりも、わからないことを自分から質問できるか、新しいことを覚えたいという意欲があるか、といった仕事への姿勢を重視しています。長期的に見るとそういう方が高いパフォーマンスを発揮してくれていると感じています。
定着に役立つと思う方法は何でも試す!型にはめない入社後フォロー
- GP:定着率を高める工夫についてもお聞かせください。入社前に行なっている対応があるそうですね?
- 林様:障害の状況について理解を深めるような資料を作成し、ご本人の了承をいただいたうえで、入社前に配属先のチームへ配布しています。障害受傷の経緯や症状、配慮事項を含めたプロフィールを事前に共有することで、チームの受け入れ体制を整えてもらっていますね。
- 福島様:プロフィールは配属先へ配付する前に必ずご本人に確認してもらうのですが「そんなこともやっていただけるなんて、安心して入社できます」と喜んでいただいています。
受け入れる側も事前情報があることで準備ができ、入社後も周りの社員が協力しやすくなったと好評です。入社後の周りの社員のフォローもスムーズでご本人が無理をしすぎて体調を崩すといったことを防ぐことができていると感じています。
- GP:入社後のフォローについてはいかがでしょうか?
- 林様:人事部では入社後2~3か月後に面談を実施しています。その後は、年1回のアンケートと人事部との面談希望者に対して面談を実施しています。
また、所属長による業務の進捗状況確認の面談が年2回、評価に関する面談が年2回、合計年4回の面談があります。この年4回の面談は一般社員も同様なのですが、それとは別に障害者の方については年1回、仕事を進めるうえで必要な合理的配慮の有無について確認する面談を所属長に実施してもらっています。障害の状況が変わることもありますので、職場内を最も把握している所属長に確認をしてもらうことで、早急な対応が可能になっています。
- 福島様:所属長との面談だと言いにくいことなどの相談は、2016年3月に設置した「障害のある社員の相談窓口」で対応しています。
昨年から「障害のある社員の相談窓口」が設置されていることや相談窓口の役割について、全社メールで周知する取り組みも開始しました。
- GP:このようなしっかりとしたフォロー体制があっても、なんらかの問題は起きるかと思います。そうしたときの対応マニュアルなどはありますか?
- 林様:マニュアルなどはありません。障害の状況はさまざまですので「その方の安定就業につながると思うことはいろいろとやってみよう」というスタンスで柔軟に対応しています。「現場に任せる」「人事が積極的に介入する」という固定した考えは持たず、型にはめないようにしていますね。
人事部が対応する方が良い場合もあれば、所属長が対応する方が良い場合もあります。場合によっては就労支援センターの支援員さんに介入していただいた方がいいこともあります。大切なことは、一律で「こう」とシステマチックに対応するのではなく、その方にとってベストな解決方法を見つけていくことだと思っています。
atGPを通して入社された方の声
自主性や主体性を肯定的に受け入れてくれる環境
ゼネラルパートナーズを活用されてご入社されたBさん(左)とKさん(右)
- GP:最後にゼネラルパートナーズを活用されてご入社された方からもお話を伺いました。
- Bさん:私は広汎性発達障害で手帳を取得し、アコムに入社しました。アコムはそれぞれの「やりたい」という気持ちを尊重し、可能な限り希望の仕事を任せてもらえる職場だと感じています。データ入力の業務が得意なのでやってみたいと申し出たところ、入社後すぐに任せてもらえました。
自発的に気づいて行動することも肯定的に受け止めてもらえるところもうれしいですね。指示された通りに業務を行うよりも、自分で考えて行動することを応援してくれるのでとても働きやすいです。
- Kさん:私は聴覚に障害がありますが、小学校から大学まで健聴者と同じ環境で育ってきました。そのため就職を考えたときも当たり前のように障害者枠ではなく一般枠で応募していたのですが、面接の質問が聞き取れないことがあり、就職活動では苦戦しました。
心のどこかに「障害者枠になってしまうと健聴者の人と区別されてしまうのでは」という思い込みがあり、なかなか障害者枠での就職に踏み切るのに時間がかかりました。そんななかでアコムと出会いました。
入社してすぐに、そんな不安や心配は杞憂だったと気がつきました。OJT担当の先輩が業務のレクチャーをするだけでなく、新人の私に対しても意見を求め、取り入れてくれます。雇用形態は関係なく、自主性や主体性が重んじられているのだと感じましたね。
現在は、配属部署のペーパーレス化の主担当として業務を行なっています。ゆくゆくはより重要な仕事を任せてもらえるように、これからも成長していきたいです。
インタビュー:2021年7月6日